キャスティング事業を主軸に急成長を続ける株式会社エイスリーは、2020年6月から、自社メディアにチャットボット型Web接客ツールsincloを設置している。導入後もデータに基づく運用改善を重ねた結果、CV(問い合わせ)の約6割がチャット経由になり、CV数は導入前の約1.5倍にまで増加した。同社はなぜsincloを選び、どのようにして大きな成果を上げたのか、社長室長兼マーケティング室長の菱沼匡氏に話を伺った。
見込み顧客を逃さず、サイトのCVRを高めたい
俳優や女優からモデル、YouTuber、インフルエンサー、アスリートなどに至るまで、オールジャンルのキャスティングをワンストップで行っているのが、株式会社エイスリーだ。また、タレントの写真を月額利用でデジタルプロモーションに活用できる、タレント写真のサブスクリプション事業や、人材紹介やM&A仲介などを通じ業界を活性化させるエンタメ支援事業も展開している。
アナログな文化が根強く残るエンタメ業界において、エイスリーは創業当初からWebマーケティングに注力し、メディアの運用やリスティング広告の出稿などで成果を上げてきた。だが急速にWebマーケティングが浸透した近年は、他社も同様の施策を行うようになり、先行者利益が縮小。同社のマーケティングを幅広く担当する菱沼氏は、新たな打ち手の必要性を感じていた。
「ブランディングで認知度を高め、SEOやリスティング広告でサイトへ集客し、問い合わせから見込み顧客の情報を刈り取る、というCV獲得のプロセスにおいて、ボトルネックになっていたのが問い合わせの部分でした。サイトのアクセスの増加に対してCVRが伸び悩んでいる現状を受け止め、刈り取りの部分を強化する施策が必要と考えたんです。」(マーケティング室長 菱沼氏)
sinclo導入の決め手は、スピーディーで質の高いサポート
日頃からメディアやセミナーなどで情報を集めていた菱沼氏は、2020年ごろから、チャットボットへの注目の高まりを感じていた。チャットボット自体は以前から存在したが、改良が進み導入が手軽になったこと、コストも下がったことなどから、前向きに導入を検討したいと考えるようになった。
菱沼氏は3社のチャットボットでトライアルを行い、価格、契約期間、操作性などの観点でサービスの検討を行った。sincloはそれらの条件をすべて満たしていたが、導入の決め手になったのは、sincloサポートチームの細やかなカスタマーサポートだった。
「何万人ものユーザーがアクセスするメディアが設置先になるので、万一、トラブルが生じると、大きな影響があります。そうしたリスクを踏まえると、専任のサポートスタッフが問い合わせにすぐ回答してくれたり、実現したいことを理解して最適な提案をしてくれたり、といったサポート対応の安心感が決め手になりました。」(マーケティング室長 菱沼氏)
データに基づく改善を重ね、CV数が導入前の150%に
2020年6月、エイスリーはヒーローキャスティングのWebサイトでチャットボットの運用を開始した。sincloの導入後、チャットの利用件数とチャット経由の問い合わせ件数は右肩上がりで増え続けており、サイト全体のCV数は導入前の約150%に達した。2021年7月の時点で、問い合わせの約60%がチャット経由となっている。
同社が大きな成果を上げている最大の要因として、sincloの機能を最大限に活用し、PDCAのプロセスを重ねていることが挙げられる。sincloは管理画面から簡単に設定を変更できるため、データを踏まえた運用改善がしやすい。菱沼氏は月に1回ほどのペースでsincloに関するデータを確認し、シナリオや設定の調整を行っている。例えば、事前にsincloとGoogle Analyticsを連携させておき、「チャットボットの表示」などのイベント件数をページごとに計測。表示数の多いページにはコンテンツに即したシナリオを作成することで、CVRの向上につなげている。
またチャットのシナリオを作成する際には、ユーザーのストレスを最大限に減らす設問設計を心掛けている。例えばユーザーが居住する都道府県を選ぶ際には、Google Analyticsのアクセスデータに基づき、実際にユーザーの多い選択肢が上から順に表示されるように設定している。年収などの選択肢を表示する際も同様だ。単語の一つに至るまで、ユーザーによりなじみのある表現を使うことを徹底している。
sinclo導入サイトを増やし、さらなるCVR向上を目指す
成果をさらに大きくするため、エイスリーでは2020年10月にコーポレートサイト、2021年6月には総合人材サービス・エンタメ人のサイトにもチャットボットを導入した。sincloは設置するサイトが増えても利用料金が変わらないため、追加コストをかけずに活用の幅を広げることができる。
「チャットはユーザーが手軽に使える分、見込み顧客の質も落ちるのではないかと予想していたのですが、実際は質の変化はありませんでした。ユーザーはフォームへ遷移しなくても問い合わせができるようになるので、サイトのCVR向上施策として、sincloの導入はとても効果的だったと考えています。」(マーケティング室長 菱沼氏)
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